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留学視察レポート1

東京理科大学・生命科学研究所・教授  穂積信道

  東京理科大学では夏休みを利用して、インド・プネ市において2006年、8月5日から9月3日までの期間にITと英語の研修を行った。このような外国に於ける研修会は本学にとって初めての試みである。参加学生は8名で、Soft Bridge Solutions Inc. (SBS) の主催で行われた。私は、オブザーバーとして最初の1週間、研修の内容を視察したので、それについて個人的な印象を述べたい。

  私にとって、インドを訪れるのは、1998年以来2度目である。前回は主にデリーを中心に滞在した。プネはムンバイから150キロくらい離れている。我々が訪れる前に、ムンバイで列車テロがあったのは記憶に新しい。この時期、この地域はモンスーンにあたる。日本も湿度が高い国であるが、プネの雨期は日本の梅雨よりもはるかに雨が多い。しかし、高地にあるため温度は高くなく、東京よりも温度は低い。

  研修は予想に反してかなりIntensive なものであった。朝8時半ころバスが迎えに来る。9時-12時まで英語によるIT研修、昼食の後、2時から5時まで英会話、7時の夕食までの時間は宿題あるいは行事がある。8-9時にバスで帰宅。当然のことながらIT研修も含めて全て英語で行われる。学生は、かなり集中して授業を受けなくてはついていけなくなってしまう。しかし、彼らはかなり真剣に授業に取り組んでいた。私は内心、学生の“熱心さ”に驚いた。SBSの先生は情熱を持って学生の指導にあたっていた。それが学生にも通じたのであろう。このような研修に参加する学生は、それなりの覚悟をもってインドまできていることも理由の一つであろう。

  我々は外国、特に北米の生活環境にたいしては、色々な機会、手段によりある程度の知識や経験がある。しかし、インドという環境はあまりにも日本とは異なっている。インドは人口10億を越える巨大な国家であり、地理的にも彼らは我々の隣人である。9年前にデリーを訪れた時には、インドの人々の貧困に驚いたものである。貧しさは哲学のレベルに達していると感じた。しかし、今回の再訪問により私の印象はかなり変化した。インド社会の中で中間層が確実に増えていると感じることができた。勿論、貧富の差の拡大、政治家・官僚・民間企業の癒着、腐敗の問題はあるが、まず中間層を増やすことが重要である。

  研修所の所長が、プネ市郊外に集中したIT産業団地を案内してくれた。まだ建設中の施設も沢山あったが、予想以上の素晴らしいものであった。

  我々、日本人はインドに対してある親しみを感じているのではないかと私は思う。その大きな理由は、インド人の生活におけるスピリチュアルな面にあるのではないだろうか。我々は人を越えた大きな力に自分を委ねる (Surrender) 時、謙虚になると私は信じている。インドは経済発展に重要な三つの要素を有しているように思われる。まず、英語国である。高等教育を受けた大きな人口が存在する。労働力も比較的安い。今後、インドが世界経済に重要な位置を占めるようになることは明らかである。

  インドは面白い国である。学生時代にこのような研修を受けながらインドという文化、人々に接することは素晴らしい経験である。このプログラムに参加を希望する意欲的な学生が多数でることを私は願っている。